材質:SWP-B(SWRS)
線径:2.3mm
コイル平均径:7.4mm
D/d≒3.2mm
巻きピッチ:15.3mm
・巻きピッチが大きいことでコイル材の癖が影響する難易度の高い加工を実現
この逸品は、当初は自動機での生産が可能と踏んでいたのですが、巻きピッチが大きすぎることから思い通りにいかず、芯金巻きで加工したものです。
一見シンプルで簡単に見えますが、実は曲者で、加工方法に工夫が必要でした。
自動機で巻くと巻きピッチが揃わない
シンプルな設計のため自動機でも加工可能かと思いきや、実際に出来上がったものを見てみると、巻きピッチが均等になっておらず、うまく加工ができませんでした。線径や材質、コイル径やその比率によって結果は様々なので、まずやってみなければうまくいくかどうかわからないという思いで常日頃作業していますが、この結果は私も予想外でした。
芯金巻きでもコイル材の癖が邪魔をしてうまく巻けない
自動機で難しかったので、次は芯金巻きで加工をしましたが、ここにも落とし穴がありました。芯金巻きをする際はコイル材というあらかじめ巻いてある材料を使用するのですが、芯金にこのコイル材を巻き付けていくうちに、コイル材の「あらかじめ巻いている」癖が影響し、線材がねじれてしまうという事態になりました。
ピッチが小さい場合はこういったことは起こりにくいのですが、今回のようにピッチが大きいと、芯金に巻く際にかける力が小さくなるため、コイル材の持つ癖の影響が大きくなったというカラクリでした。
コイル材をまっすぐに直してから加工することで解決
今回の設計で使用する材質はピアノ線ですが、この材質の直線材は材料屋さんでも用意していません。そのため、1から直線材を調達するとなると費用が高くついてしまいます。そこで、岩津発条では直線材を外から調達するのではなく、「自社で」直線材に加工してから芯金巻きをすることで問題を解決しました。
岩津発条では1度失敗したとしても、あらゆる方法をトライして数々の加工をクリアしてきました。他社で断られたバネの製作などはお気軽にご相談ください!