真鍮を傷つけないよう自らの「手」だけで巻いた引張バネ

こちらの逸品はいかに材質を傷つけずに巻くかという部分で岩津の力が発揮された逸品です。

真鍮は柔らかく傷つきやすいため、自動機での加工はできません。そのため、旋盤を用いて芯金に手加工で巻いていく方法を選択したのですが、巻く際に線材を押さえる用途で治具を用いるため、その治具が線材に傷をつける原因になってしまいました。そこで、岩津の職人が選んだ方法は、治具も使わず自らの「手」だけで線材を固定し巻き続けるというもの。自動機も治具も使わずに正確に加工をするのは技術力のある職人にしかできません。まさに岩津らしい強みが発揮された逸品となりました。