材質:SUS631J1-WPC(析出硬化系)
線径:1.3mm
こちらの逸品は、バルブの弁に使用される圧縮バネです。
お客様の要望を聞き、SUS631J1-WPCという特殊な線材を使用することを提案しました。
バルブ弁用のバネといういことで、耐久テストによる寿命の指定がありました。その他、サイズや荷重、コスト等を検討した結果、SUS631J1-WPCという線材を採用しました。
この線材は、横弾性係数が一般的に用いられるSUS304-WPBより高いことで、強い荷重が得られる上、錆びにくく、へたりにくい、さらに高温でも耐えられるという優れものです。
バルブ弁用バネ特有の高い精度の直角度に対応するため、熱処理時の膨張を加味しながら、バネが正しく垂直に立つのと、ピッチが均等になるよう、巻きや研磨の調整をしたのち、電気炉に入れます。
しかし、この優れた性能の素材の熱処理には「475℃で1時間」という、通常一般的な400℃までの電気炉では対応できないというバネ屋泣かせの弱点が存在します。
ですが、岩津発条では500℃まで対応可能な小型電気炉を保有していたため、こちらの線材の熱処理を自社内で対応することが可能となりました。また、小型であるという電気炉のメリットを生かして試作のスピードアップも図ることが出来ました。
ちなみにこの電気炉、量産も数千単位なら可能です。高温処理が必要な、特殊な材質を用いたバネを試作したいというお客様はお気軽にご相談くださいませ。