柔らかな揺れを実現した玩具用バネ

柔らかな揺れが特徴の、玩具用バネを製作いたしました。

巻き数を調節することで荷重のオーダーを満たすことは容易でしたが、「柔らかい揺れ」を同時に満たすことが難しいポイントでした。私自身、バネ業界に長く携わっており、設計の常識や習慣でものを考えていたため、なかなかうまくいかず試行錯誤を繰り返しておりました。しかしふと、一見揺れとは関係なさそうな「初張力」を調整して設計いたしましたところ、予想は的中、荷重と揺れの両方を満たすことができました。

なお、初張力のコントロールは難しく、低い温度で熱処理を行うと多く初張力が残る特性があります。ちなみに、230℃で熱処理を行うとピアノ線や硬鋼線（バネ鋼）だと初張力は7割しか残りませんが、ステンレス鋼線の場合は9割初張力が残ります。

難加工ではありませんが、先端をラッパ型（円錐型）に製作しているのも、このバネの特徴です。一見難しいことでも、見方を変えることで解決できる、ということで、改めて「挑戦する」ということの大切さを感じました。