自由長や直角度の公差が厳しい圧縮バネ

上記のようなバネは芯金に巻きつけて製作するのですが、巻いた後にスプリングバックが発生し、寸法にずれが生じます。
（特に、手巻きの場合は、より大きなずれが生じやすいです。）
そのため、仕上げに寸法調整(芯取り)を行います。

線径が細くて柔らかいバネなら両端を手で引っ張り、簡単に寸法調整できますが、線径が太くて硬いバネの場合は
力不足のため、治具を使う必要があります。
その際活躍する治具が、岩津発条が独自に製作した「平箸」です。

平箸をピッチ間に挟み握ると、ハサミ部分が開き、ピッチが広がります。

適度なピッチ間隔に広げる作業を各ピッチ箇所で行い、全体の寸法を調整します。
単純な作業ですが、適度な寸法を出す力加減は、長年経験を積んだ職人にしかわかりませんし、
数が多くなるほど根気のいる作業です。
岩津発条では、5000個程度のロット数でもお引き受けします。
また、大小様々なサイズの平箸を揃えておりますので、各種サイズに対応可能です。

また、直角度を出すには、直角を確認する道具「スコヤー」（直角器）を使い、圧縮バネの側面がスコヤーの縦にピッタリ揃うように、平箸でピッチ間隔を調整して仕上げます。
小物バネ・精密バネの直角度を出す場合は、投影機での検査も行います。

余談ですが、「スコヤー」を使って行う加工は昔ながら加工方法なのですが、今では自動機を使っての加工が主流となり、このような治具をつくれる／使えるバネメーカーが少なくなっています。昔ながらの技術が衰退していくのは、残念なことです。